司法試験予備試験論文式を受験して(民事系科目)

前回は、刑事系についての感想を投稿しました。そして前回記事の最後に、次回は実務基礎科目について記事を書く旨述べましたが、先に民事系の再現答案を作成したので、今回は民事系について述べようと思います。

 

民事系

 民法と民訴はなかなか難易度が高かったと思います。特に民訴は、出題意図にほとんど答えることができていないと思われ、Fが来そうな気がしています。商法は、特にひねりがあるとは感じませんでしたが、論じる分量が多かったと感じられました。設問1だけで2ページ半も使ってしまい、設問2でも論じるべきことは多いのに、非常に焦った記憶があります。

 

民法

 民法の設問1は、ネットを見てもかなり回答筋が割れていたと思います。私は、請負契約が「効力を生じ」た(民法632条)として契約自体は有効とした上で危険負担の問題として、250万円請求可能、ただし修復作業をしなくて良くなったことから利益を得たとして結局は40万円の範囲で認めました。

 原始的不能なども論じさせたいのか、と考えはしましたが、債務不履行として論じる道を思いつくことはできなかったので特にこの点については触れていません。

 設問2は、あまり見慣れない形式の出題で一瞬戸惑いましたが、契約時の説明の仕方で、即時取得となるか表見代理の問題となるかを適切に論じさせる問題であったのだと思います。

 (1)は、即時取得の条文の要件を検討した上で、占有改定では一般外観上従来の占有に変更を加えたとは言えないから即時取得することはできないと単純に結論づけました。ツイッターにはさらに題意を深読みして、(表見代理の場合にはDが乙を取得できることを前提として)事実関係に変更はないのに当事者の説明の仕方だけで結論が変わってしまうことに問題意識を持ち、即時取得可能な方向に修正するといった方もいらっしゃいましたが、現場では到底そこまで考えは及ばず、即時取得不可としました。

 (2)は表見代理の問題として、112条の文言を端的に検討しました。「過失」という規範的要件が出てくるのでここは事実を拾って評価しなければ、と思ってとりあえず事実を拾ってきた覚えがあります。

 設問1がどれだけ点数が入るかわかりませんが、AからCの間の評価が頂ければ、と考えていますが、どうでしょう。相場感がイマイチわからないのでなんとも言えません

 

商法

 設問1は株主総会の取消事由について問う問題でした。取消事由として私が考えついたのは、会社法305条の議案を招集通知に記載する請求権を無視したことと、乙社の従業員であるEの総会への参加を認めなかったことが会社法310条に違反する、という点です。

 305条の点については、甲社が公開会社すなわち取締役会設置会社であることに注意しつつ305条の要件を淡々と検討しました。310条については、代理人資格を株主に限定する甲社定款の有効性を検討→定款が有効でも乙社に定款の効力は及ばないと考えられないかという順で検討しました。書き方が悪かったのか、ここまでで2ページ半も使ってしまいました。なお、裁量棄却が認められないことはしっかり触れました。

 設問2は、新株発行の無効事由を問う問題でした。新株発行の無効事由が、差止仮処分を無視した発行、株主への通知、公告を欠いた場合に差止事由がないとは言えない場合に限られるという知識は最低限有していましたので、これを元に検討しました。

 本問では本件発行に関する瑕疵として、有利発行であるにもかかわらず特別決議がなされていないこと、株主への通知、公告を欠いていること、支配権維持を主要な目的とした発行で、「著しく不公正」な発行であること、というものが考えられました。

 しかし有利発行であることはそれだけでは新株発行の無効事由とはならないので、通知、公告を欠いたこととの関係で論じる必要があります。そして、通知公告を欠いている本件では差止事由が問題となりますが、支配権維持のための新株発行は原則として「著しく不公正」(会社法210条2号)であるのでこれを差止事由として論じることとしました。有利発行の点が法令違反(210条1号)の差止事由となる点については見落としてしまいました。

 商法は、大体書くべきことは書いた気がするので良い評価を期待したいですが、周りの出来も良さそうなことを考えると、そこまで期待はできないかもしれません。

 

民訴法

 これはやばいです、とにかくやばいです。先に労働法について全科目の中で一番出来が悪いと書きましたが、余裕で更新してきました。

 設問1は、訴えの交換的変更との関係で後訴の適法性について論じる問題でした。私はこれについて、訴えは却下を免れないとの問題文に引っ張られ、既判力によって後訴が不適法となる場面であると考えてしまい、構成がずれてしまったように感じます。訴えの変更が新訴提起と旧訴取り下げの複合的行為であるから、前訴の係属は遡及的になかったものとなるため、既判力に抵触しないとして、それで終わりにしてしまいました。本来ならば訴えの取り下げの後の同一の訴えの適法性の問題であったのにそれに気づくことはできませんでした。これはFを免れないでしょう

 設問2は、ほぼ手が回っていないところから出題されました。和解の錯誤や詐欺取消しの論点については知っていましたが、問題文に「手続上の手段」と書かれていたため、取消しは実体法上の手段だから、論じなくていいのかと早合点してしまいました。よく見たら詐欺取消しについて論じて欲しそうな問題文だったのでやらかしたと思います。

 手続き上の手段とかほぼ知らなかったので、短答対策の記憶を引っ張り出してきて期日指定の申立てについて、何が何だかわからないまま書かないよりかはましだと思って書きました。

 民訴はF確定とみていいと思います。問題の意図に応えられていませんし、何より分量も2ページちょうどしか書けていません

 

 とりあえず、今日までに基本7科目については再現答案の作成を完了したのですが、選択科目と実務基礎についてはもうエネルギーが残っていません。でも、LECの再現答案募集に応募してしまったので、なんとか数日中に終わらせたいと思います