令和5年度司法試験予備試験合格再現答案(公法系)

お久しぶりです、へるしろです。

 口述試験対策の関係で更新が滞っていましたが、本日公法系の予備試験再現答案をアップします。実務基礎と選択科目(労働法)は再現答案を作ることはできませんでした。よってこれで再現答案のアップは最後となります。

 また、受験後の感想を記した記事のリンクを貼っておきますので興味のある方はぜひご覧ください

司法試験予備試験論文式を受験して(公法系) - healthy-law’s blog

 

憲法 評価:A

 

第1

  •  Xの主張する憲法上の権利として、取材源を秘匿する自由が想定される。この権利は憲法上の権利と言えるか。

 まず、憲法は国民に知る権利を保障していると解されるところ、報道の自由は国民の知る権利に奉仕するから「表現の自由」(憲法21条)として保障される。そして、取材の自由は報道の自由に資するものとして憲法上保障されると解されるところ、取材源の秘匿ができないと取材は著しく阻害されるから上記自由は憲法上の権利である。

 これに対する反論として、取材の自由は報道の自由の精神に照らして、十分尊重に値するとは言えるが、憲法上の権利としてまでは保障されないとの主張が考えられる。

 私見としては、報道が正しい内容を持つためには取材の自由は不可欠であるから、報道の自由が保障される以上取材の自由も憲法上保障されるため、Xの上記権利は憲法上保障されると考える。

  •  そして、法廷においてインタビューに応じた者の氏名を答えさせられることは、取材源を秘匿する自由を著しく害するものであるから、インタビューに応じた者の氏名が「職業の秘密」(民事訴訟法197条1項3号)に当たらず証言拒絶が認められない場合、Xの憲法上の権利が制約されることとなる。
  •  では、上記制約はいかなる基準により正当化されるか。

 この点につきXは、それが開示されると以後その職業の遂行が困難となるものは「職業の秘密」に当たると主張する。このように解することが職業選択の自由憲法22条)にも資すると言えるし、報道の自由を最大限保障することにつながる。

 本件ではインタビューに応じた者を秘匿できないと今後Xによる取材を受けることをためらう者が出てくることが予測され、記者クラブに所属できず取材方法に限りがあるXにとっては取材の自由が著しく阻害されるから、以後Xのジャーナリストとしての活動が困難になるものと言えるから、「職業の秘密」として証言拒絶できる。

 反論としては、取材の事由が憲法上重要な権利ということができるとしても甲の裁判を受ける権利(憲法32条)という憲法上の権利と衝突する以上、合理的な調整が必要である、そこで証拠としての必要性と、証言拒絶が認められないことで取材の自由が妨げられる程度、報道の自由への影響を比較し、後者が優越する場合に限り証言拒絶は認められると言うべきであるとの主張が考えられる。そして、本件ではインタビューに応じた者が誰であるかは乙に対する守秘義務違反に基づく損害賠償請求が認められるかどうかの争点の中心であり、証拠としての必要性は極めて高いと言える。他方で証言拒絶が認められなかった場合に生じる取材対象の萎縮効果は抽象的な恐れにすぎないから取材の自由が妨げられる程度は小さく報道の自由に与える影響も少ない。よってXによる証言拒絶は認められない。

 以上の議論を踏まえ、以下私見を述べる。

 まず、取材の自由は憲法上、精神的自由権をとして特に重要なものである。一方で裁判を受ける権利も重要な権利であるが、本件は民事裁判であるから刑事裁判とは異なり厳格な真実発見は要請されない。そこで、ある事項が開示されると以後その職業の遂行が困難となるものは「職業の秘密」に当たるが、そのうち保護に値するもののみが証言拒絶が可能と解する。そして、保護に値するかどうかは取材を行う必要性、取材行為の態様、取材事項の社会の関心、取材の自由が妨げられる程度を総合的に考慮する。

 本件では、記者クラブに所属資格がないXにとって乙に対して直接の取材を行う必要性が高かった。また、Xによる取材の態様は乙に守秘義務違反をさせるもので悪質性が高いとも思えるが、単に説得をしたにとどまり、悪質性は高くない。また、甲はSDGsのもとに名を馳せる企業であるから、輸入元に関する社会の関心は高い。一方で、証言拒絶が認められないと、Xは記者クラブへの入会ができず、効果的な取材方法は個人への直接的な取材しかないこと、Xがインフルエンサーとして知名度が高いことからXの取材をうけるものは身元を明かしたくないと考えるものが多いであろうことから、証言拒絶が認められないとXの取材の事由が妨げられる程度は重大である。

 よって本件は「職業の秘密」のうち保護に値するものと言えるから、証言拒絶は認められる。

(約3ページ半)

 

行政法 評価:C

第1 設問1(1)

 不適切な行政行為からの国民の救済という行政事件訴訟の趣旨及び基準の明確性から、「法律上の利益を有する者」とは法律上保護された利益が侵害され、または必然的に侵害される恐れのある者をいい、当該処分を定めた行政法規が不特定多数人の具体的利益を一般公益に吸収させるにとどめず、当該利益の帰属する個人の個別的利益としてもこれを保護しようとする趣旨を含むと解される時はそのような利益も「法律上の利益」に当たると解する。

  •  本件においてCの主張する利益として、過当競争により経営危機にさらされない利益が想定される。

 そして、「基本的事項」(法6条2項4号)として、B、C社の2社に限って許可を与える旨が記載されていること、法施行規則第2条の2第2項ロにおいて業者が「経理的基礎」を有することが許可条件とされていることからすれば、法は浄水槽汚泥の処理業務が住民の健康や環境にとって重要であることに鑑み廃棄物処理業者の経済的基礎を保障しようとしているものと解され、業者が過当競争により経営危機にさらされない利益は法律上保護された利益と言える。また、このような利益は一般公益に吸収解消することは困難で、業者の個別的利益であると言える。

 そして、Cはすでに許可を受けた業者の一つであるところ、新たにDに許可がなされると、浄化槽及び汚泥の量の増加が見込まれない以上競争に巻き込まれることが予想されるから上記利益が必然的に侵害されるおそれがあると言える。

 したがって、Cは「法律上の利益を有する者」にあたり、原告適格が認められる。

第2 設問1(2)

  •  取消訴訟につき、訴えの利益とは処分の取消しにより回復すべき法律上の利益が存在することを言うところ(行政事件訴訟法9条1項)、本件許可はすでに失効していることから本件取消訴訟にもはや訴えの利益は認められないとも思える。いかに解すべきか。
  •  この点、ある処分が失効してもその効力が後行処分に引き継がれていると言える場合はなお先行する処分の効力は残存すると言えるから、そのような場合はなお回復すべき法律上の利益が認められ、訴えの利益は存在すると考える。
  •  本件では、本件許可はすでに失効しているものの、本件許可の更新が行われており、許可の更新は許可処分の存在を前提としていると言える。したがって許可の更新に本件許可処分の効力が引き継がれていると言えるから、なお本件許可の効力は残存しているから回復すべき法律上の利益が認められる。よって訴えの利益は認められる。

第3 設問2

  •  まず、A市が主張するようにA市に裁量権が認められるかどうか検討する。

 この点、法7条5項本文に「認めるとき」と言う文言が用いられていることや、同項各号の要件はその充足性を判断するのにせ行政庁による専門技術的知識を要すると考えられることから、同項2号、3号の各要件の認定についてはA市に要件裁量が認められる。

 したがって本件許可が違法となるには「裁量権の範囲をこえ又はその濫用があった」(行政事件訴訟法30条)と言える必要があるから、Cはこの点を主張すると考えられる。そして、判断の内容及び過程が重大な事実の基礎を欠くか、社会通念上著しく妥当性を欠く結果著しく不当な処分がなされた場合に限り裁量の逸脱、濫用となり違法になると解する。

 本件では、本件許可は新計画に基づいてなされているところ、新計画は将来における人口及び総世帯数の見込みは旧計画を引き継いでいるにもかかわらず、浄化槽汚泥について根拠の乏しい大幅な増加見込みがなされており、これを前提にB、C以外に新たな許可をしない旨の記載を削除されているから、新計画は不当なものである。そして、本件許可が新計画に基づいている以上、本件許可は考慮すべきでないことを考慮した結果、著しく妥当性を欠くものとなっていると言える。そして、これはD社が実質的にB社の一部である本件においても、将来的にD社が別個独立して事業を行う可能性もある以上ことならない。

 したがって本件許可は裁量権の逸脱、濫用があったといえ、行政事件訴訟法30条により違法となる。

(約3ページ半)

 

 公法系、特に憲法に関しては再現が難しく完璧な再現はできていないと思います。しかし記述内容の骨子は本番の物と一致していますのでぜひ参考にしてください

令和5年度予備試験合格再現答案(刑事系)

 こんにちは、へるしろと申します。

 今回は前回に引き続き令和5年度の予備試験再現答案をアップしていきます。なお、受験直後に記した授権雑感についての記事も以下のリンクよりぜひご覧ください

司法試験予備試験論文式を受験して(刑事・選択科目) - healthy-law’s blog

 

刑法 評価:A

第1 設問1

  •  甲に監禁罪が成立するかにつき、甲の小屋の唯一の出入り口をロープで固く縛り、内側から開けられなくした行為が「監禁」(刑法220条)に当たると言えるか、監禁罪の保護法益との関係で問題となる。
  •  この点、監禁罪の保護法益を現実に移動する自由と考え、被害者が現実に移動の自由を侵害された場合にのみ「監禁」に当たると考える見解があり、このように考えた場合本件では甲は午後5時以降一度も目を覚まさなかったことから現実の移動の自由は侵害されておらず、監禁罪は成立しない。
  •  しかし、上記のような見解は睡眠中の被害者が監禁されている間に覚醒したかという偶然の事情により犯罪の成否が左右されるから妥当でない。そこで、同条の保護法益は移動しようと思った時に移動できる自由(可能的自由)であると解する。本件では甲は熟睡中につき監禁の事実を知らなかったが、Xが覚醒することもあり得、移動しようと思った場合に小屋から移動できなくなっているから、Xの可能的自由は侵害されている。
  •  したがって、甲の行為は「監禁」にあたり、監禁罪が成立するから主張は妥当である

第2 設問2

  •  甲がXの携帯電話機を取り出し、リュックサックに入れた行為につき、窃盗罪(刑法235条)は成立するか。
  • まず、Xの携帯電話機はXの占有するXの物であるから「他人の物」である。
  • そして、甲はXの意思に反して同携帯電話を自己の占有に移しているから、「窃取」にあたる。
  • そして、窃盗罪と、不可罰的な利益窃盗及び利欲犯的性質を有しない毀棄罪を区別するため、主観的要素として不法領得の意思が必要である。そして、不法領得の意思とは、権利者を排除してその物から生じる何らかの効用を得ようとする意思であると解する。
  • 本件では、甲は同携帯電話を取得し、Xから離れた場所に捨てようと考えているから権利者排除意思が認められる。また、甲は携帯電話を捨てようとしているから携帯電話の経済的用法に従った利用、処分の意思は有していない。しかし、携帯電話のGPS機能により捜査を撹乱しようと考えているから、携帯電話から生じる効用を得ようとする意思は認められる。よって甲には不法領得の意思が認められる。
  • よって、以上の通り甲に窃盗罪が成立する。
  •  甲がXの財布から3万円を抜き取った行為に窃盗罪は成立するか。
  • まず、3万円はXが占有するXの物だから「他人の物」にあたる
  • そして、甲はXの意思に反して3万円を自分のポケットにいれることで占有を取得しているから「窃取」にあたる。
  • もっとも、甲はXがすでに死亡しているものと誤信しているため甲の主観を基準にすれば占有離脱物横領罪(刑法254条)が成立するに過ぎず、窃盗罪の故意が認められないのではないか。
  • この点、死者には占有は認められない。しかし、殺害行為があった場合に殺害行為との時間的場所的接着性その他の事情を考慮して殺害行為に及んだ者との関係を全体的に観察すれば死者の生前の占有を侵害したと評価できる場合、窃盗罪が成立すると解する。
  • 本件では、甲が殺害行為に及んでから3万円を取得するまで、時間にして5分、距離にして100メートル離れているに過ぎないことからすれば、一連の行為を全体的に観察して、甲はXの生前の占有を侵害したと評価することができるから、甲の主観を基準にしても窃盗罪が成立する。
  • よって、甲には窃盗罪の故意が認められるから、甲の行為には窃盗罪が成立する。
  •  甲がXの首を両手で絞めた行為につき殺人罪(刑法199条)は成立するか
  • まず、睡眠中で無抵抗の人の首を両手で強く締め付けることは窒息等により人を死亡させる現実的危険のある行為であるから殺人罪の実行行為である。
  • そして、Xは崖から転落したことによる頭部外傷により死亡している。
  • もっとも、上記実行行為と結果との間に因果関係は認められないのではないか。

この点、因果関係とは行為と結果との間に、行為者に結果を帰責させるだけの客観的結びつきが認められるかどうかの問題である。そこで、行為と結果との間に介在事情が存在する場合、行為の危険性、介在事情の結果への寄与度、発生の異常性を考慮し、行為の危険が結果として現実化したといえる場合に因果関係は認められると解する。

 本件では、上記の通り甲の行為は人を死亡させる危険が極めて大きい行為である。しかし、Xの直接の死因は崖から転落したことによる頭部外傷であるから、介在事情の結果への寄与度は大きい。もっとも、山奥で殺人行為をした者が証拠隠滅等のために被害者を崖下に投棄することはよくあることであって介在事情発生の異常性は低い。よって、甲の行為に含まれる危険が現実化したということができるから、行為と結果の間に因果関係は認められる。

  •  もっとも、甲には上記の通り因果関係について錯誤があり、殺人罪の故意は認められないのではないか。

 しかし、因果関係について錯誤があったとしても主観と客観が同一構成要件内で符合している場合、行為者は規範に直面したのにあえてそれを乗り越えたということができるから、故意は阻却されない。

 本件でも、甲の主観、客観共に殺人罪という同一構成要件に収まっているため、故意は阻却されない。

  •  よって、甲には殺人罪の故意が認められ、殺人罪が成立する。
  •  罪数

以上の通り甲には二つの窃盗罪が成立し、これらは同一のXという法益主体を侵害するものであり、時間的場所的にも近接しているから包括一罪となり、殺人罪併合罪(刑法45条)となる。

 

(約3ページと4分の3)

 

刑事訴訟法 評価:A

第1 設問1

  •  本件住居侵入・強盗致傷の事実に本件暴行の事実を付加して甲を勾留することは、逮捕前置主義(刑事訴訟法204条1項)に反するのではないか。
  •  まず、本件住居侵入・強盗致傷については勾留の理由(刑事訴訟法60条)及び勾留の必要性(刑事訴訟法87条)があるから勾留の要件を満たしており、先行して逮捕手続が取られているから、逮捕前置主義にも反しない。
  •  本件暴行については、本件暴行の事実には先行して逮捕が行われていないため、本件暴行の事実での勾留は逮捕前置主義に反して違法となるのが原則である。
  • ここで、逮捕前置主義の趣旨は、勾留という最長で20日もの期間にわたる身柄拘束の前に逮捕という比較的短時間の身柄拘束を先行させることで捜査機関に慎重を期させることで被疑者の権利を守ろうとする点にある。したがって、すでに逮捕手続きがとられ、勾留の要件を満たしている他の事件がある場合にその事件に付加して勾留を行う場合、勾留の要件を満たしている限りにおいて別々に逮捕、勾留を行う場合よりも身柄拘束の期間が短くなり被疑者にとって有利である。よって、このような場合は逮捕前置主義の例外として逮捕を経ない勾留が認められると解する。
  •  本件では、本件住居侵入・強盗致傷の事実については上記の通り勾留の要件を満たしている。よって、本件暴行の事実を付加して勾留することは身柄拘束の期間において甲にとって有利である。したがって本件は逮捕前置主義の例外として、本件暴行につき逮捕をしなくても勾留可能である。
  •  よって、裁判官は本件住居侵入・強盗致傷の事実に本件暴行の事実を付加して勾留することができる。

第2  設問2

  •  下線部②の勾留は許されるか、甲はすでに本件住居侵入・強盗致傷の事実で逮捕、勾留されていることから問題となる。
  •  重複逮捕、重複勾留を認めると、法が204条以下で身柄拘束の期間を厳格に定めている趣旨を没却することとなるから妥当でない、もっとも、流動する捜査実務の観点からすると、再逮捕、勾留が一切認められないとするのは現実的でない。また、刑事訴訟法199条3項は再逮捕がありえることを前提とした規定であり、再勾留についてもこれを禁止した明文の定めはなく、逮捕と密接した手続きであるから一定の場合には再逮捕、再勾留は認められると解する。もっとも、被疑者の利益のために厳格な要件のもとに認められるべきである。

 そこで、①再逮捕、再勾留を必要とする新事情が出現し、②事案の重大性、先行の身柄拘束期間など被疑者の不利益を考慮してもやむを得ないといえる事情が存在し、③不当な蒸し返しといえる事情がない場合には再逮捕、再勾留も認められると解する。

  •  本件では、甲を釈放したのち甲の共犯者と見られる乙の、本件住居侵入・強盗致傷についてV方に侵入して金品を強取することを甲と相談し、乙が実行し、甲が換金する旨の役割分担をしたとの供述が得られた。これは甲が本件住居侵入・強盗致傷の共謀共同正犯としての正犯者であることを推認させるものであり、甲を逮捕する必要性が生じるだけの新事情が出現したといえる(①)。そして、住居侵入・強盗致傷は法定刑に無期懲役もある重大犯罪である。しかし、甲は先行する逮捕、勾留において期間制限の限界に近い期間の身柄拘束を受けているから、甲にとって再逮捕、再勾留はやむを得ないとは言えないとも思える。しかし、先行する逮捕、勾留は別個に行われればさらに長期間の身柄拘束がありえた以上、身柄拘束の期間が長かったとは言えない。よって、甲にとって再逮捕、再勾留もやむを得ないといえる(②充足)。また、先行する勾留の段階で、捜査機関は甲の所持品や交友関係にある者の取り調べ、防犯カメラ解析や聞き込みといった捜査を尽くした以上、不当な蒸し返しとも言えない(③充足)。
  •  よって、本件は例外的に再逮捕、再勾留が認められる場合にあたり、逮捕がすでになされているから裁判官は下線部②について甲を勾留することができる。

(約3ページ)

 

令和5年度予備試験合格再現答案(民事系)

こんにちは、へるしろです。本日成績表を確認しましたので今回はタイトル通り受験直後に作成した再現答案をAからFのランクとともにアップしたいと思います。今回は民事系科目です、なお、Wordからコピペした関係でナンバリングがおかしくなっています。実際には中点は打っていません。また、以下のリンクは受験した時点での感想を記した記事になっていますので併せてご覧ください

司法試験予備試験論文式を受験して(民事系科目) - healthy-law’s blog

民法

第1 設問1

  •  BのAに対する請求は請負契約(民法632条)に基づく代金支払い請求であると考えられるところ、これは認められるか。
  • まず、Bは甲を鑑賞可能な程度にまで修復することを約しているから、「当事者の一方が仕事を完成することを約し」たといえる。また、Aは甲と引き換えに報酬250万円を支払うことを約しているから、「相手方が仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約」したといえる。したがって本件請負契約は「その効力を生」じたといえるから、本件請負契約は有効である。
  •  そして、請負契約に基づいて報酬を請求するには「仕事の目的物の引渡し」(民法633条)を要するが、Bは仕事を完成していないからBは請負契約に基づいて報酬支払いを請求することはできない。
  •  もっとも、甲はAによる不適切な保管の結果修復不能となっていることから、危険負担(民法536条2項)によってBは報酬の支払いを請求できないか。
  • まず、本件においてBは甲を鑑賞可能な程度に修復する債務を負っているところ、Aはこの債務の「債権者」である。また、甲は修復不能となっているから「債務を履行することができなくなったとき」にあたる。よって、Aは「反対給付」たる250万円の支払いを拒むことはできない。そこで、「債権者」であるAの「責めに帰すべき事由」があったと言えるか、問題となる。
  •  本件ではAは掛け軸甲につき、標準的な保管方法に反して紙箱に入れるのみで屋外の物置に放置するという著しい不注意があった。また、Bが最後に甲の状態を確認してから半年程経過していたことからBは甲の状態について問い合わせたにも関わらずAは状態を確認することはなかったのであるから、Aには「責めに帰すべき事由」が認められる。したがって、Aは250万円の支払いを拒むことはできない。
  •  もっとも、Bはこれによって甲の修復作業を行う必要がなくなったから、「自己の債務を免れたことによって利益を得た」と言えるから、甲の修復に要する材料費等の40万円を除いてAに返還する必要があるから、Bの請求は40万円の範囲で認められる。

第2 設問2(1)

  •  DのCに対する所有権に基づく乙の引渡し請求について、乙をCが占有していることは明らかであるから、Dに乙の所有権が帰属するといえるかどうかが問題となる。
  •  まず、乙につきBD間で売買がなされているが、乙の所有者はCであるから、本件は他人物売買(民法561条)となっているところ、BはCの追認を得ていないから、Dは乙の所有権を売買によっては取得しない。
  •  次に、BはCから当初乙の売買を委託されているから、表見代理が成立するとも思える。しかしBは乙が自己の物であるとの説明をしており、「本人のためにすることを示し」(民法99条)たとは言えないから、代理によってCにBD売買の効果が帰属し、Dが乙の所有権を取得することはない。
  •  では、Dは乙を即時取得民法192条)しないか。以下即時取得の要件につき検討する。
  • まず、BD間の売買は「取引行為」にあたる。
  • そして、民法186条により「公然」「平穏」「善意」は推定される。
  • さらに、民法188条によりBの乙に対する占有が適法なものと推定される結果、Dに「過失がない」ことが推定される。
  • では、Dは「占有を始めた」といえるか。

この点、即時取得について定める民法192条の趣旨は、真の権利者の犠牲のもと、取引行為によって動産を取得した者を保護し、もって取引の安全を図ることにある。したがって、保護に値する占有をした場合でなければ「占有を始めた」とは言えないと解する。具体的には、一般外観上従来の占有の形態に変更を加える程度の行為が必要である。

本件ではDは占有改定(民法183条)により占有を取得しているが、占有改定では乙は相変わらず外観上Bの占有にあるから、一般外観上従来の占有に変更が加わるとは言えない。

よって「占有を始めた」に当たらず、Dは乙を即時取得しない。

  •  したがってDには乙の所有権は認められないからDの請求は認められない。

第3 設問2(2)

  •  本問も同様にDが乙の所有権を取得するかどうかが問題となる。
  •  まず、BはCから当初乙の売却につき代理権を授与されていたが、令和5年6月1日に乙の返還を求められ、その意思表示は到達した(民法97条1項)から、本件委託契約(3)により、代理権は消滅した。
  •  Dはその後にBから乙を購入しているから代理(民法99条)によってDが乙の所有権を取得することはない。
  •  もっとも、Dは表見代理民法112条1項)によって保護されないか。以下要件充足性を検討する。

 まず、Cは「他人に代理権を与えた者」であり、B D売買は「代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為」にあたる。そして、 Dは売買当時、Bは本件委託契約に基づく処分権限を現在も有していると信じているから、「代理権の消滅を知らなかった第三者」にあたる。

 では、Dには「過失」があるといえるか。

 まず、DはBから本件委託契約の契約書を見せられており、それから1ヶ月しか経っておらず、乙の実物も未だBの店内にあることから、DにおいてBが有していた代理権が消滅したことを知らなくてもやむを得ないといえる。よってDに過失はないといえる。

  •  よって、CがBD売買について「責任を負う」結果、BD売買の効力がCに帰属し、Dは乙の所有権を取得する。
  • したがって、Bの主張は認められる。

(3ページと4分の3)

評価:B

 

商法

第1 設問1

  •  乙社が提起した訴えは株主総会取消しの訴え(会社法831条)であるところ、取消し事由が認められるか。
  •  まず、乙社が提案した議案の要領を本件総会の招集通知に記載しなかったことが、「株主総会の招集の手続…が法令…違反」(会社法831条1項1号)の取消し事由にあたると主張することが考えられる。そこで、乙社に議案提出権を有しているといえるか、会社法305条の要件充足性が問題となるので以下検討する。
  • まず、乙社は甲社株式を保有しているので「株主」(会社法305条)である。
  • また、乙社がAに対して招集通知に議案の要領を記載するよう請求したのは令和5年4月10日であり、本件総会の行われた同年6月29日より「八週間前まで」である。
  • そして、甲社は公開会社であるから、取締役会設置会社である(会社法327条1項1号)そこで、305条但書の要件も満たす必要があるところ、乙社は令和4年6月頃から甲社株式を1000株保有しているから「議決権の百分の一以上の議決権」、「三百個以上の議決権」を「六箇月以上前から」有する株主であるから、但書の要件も満たす。
  •  したがって、乙社は305条に基づいて議案の要領を招集通知に記載することを請求することができるから、Aの措置は同条に反するから招集手続きに法令違反があるから、取消事由が認められる。
  • また、Fを取締役に選任する旨の議案が取り上げられていればFが取締役に選任される可能性があった以上、「決議に影響を及ぼさないものであると認められる」(会社法831条2項)とは言えず、裁量棄却も認められない。
  •  次に、乙社は乙社の代理人のEを本件総会に出席させなかったことが会社法310条に違反するとの主張をすることが考えられる。本件ではAは代理人資格を株主に限る旨の定款の定めに基づいてEの出席を拒絶しているから同定款の定めの有効性が問題となる。
  • 会社法310条が、代理人による議決権行使を認める趣旨は株主に議決権行使の機会を与えることにある。一方で代理人資格を無制限に認めると株主総会の撹乱の恐れがあるため、代理人資格を制限する必要もある。そこで、代理人資格と制限する定款の定めは、制限が合理的で、かつ相当といえる場合には有効と解する。
  • 本件では甲社の定款は代理人資格を株主に限定しているところ、代理人を株主に限れば、株主が株主総会を撹乱することは考えにくいため合理的である。また、株主であれば株主同士で代理を依頼するなどして議決権を行使することが可能であるから、相当といえる。したがって甲社の定款の定めは有効である。
  • したがって、Aの措置は310条に反しないとも思える。しかし、議決権を制限する定款の定めが、特定の株主の議決権行使を著しく困難にするものである場合は、310条の趣旨に鑑みて当該定款の定めは特定の株主に及ばない場合があると解する。本件では乙社は法人であるところ、法人自体が株主総会に出席することはできない以上、代理権を有する従業員に議決権を行使させる必要があり、これができなければ乙社が議決権を行使することはできなくなってしまう。したがって、本件で乙社には代理権資格を制限する旨の甲社の定款の効力は及ばない。
  • そしてEは乙社から株主総会に関する代理権を授与され、Aに対して委任状を示している。また、AはEが乙社の従業員であることも知っていた。よって、Eの出席を拒んだAの措置は310条に反し、法令違反の取消事由が認められる。
  • また、乙社は甲社株主を10分の1保有する株主で影響力は大きいため、Eが出席できなくても「決議に影響を及ぼさないものと認める」場合に当たらず、裁量棄却は認められない。
  •  したがって、乙社の主張は妥当であり、本件決議の取消しは認められる。

第2 設問2

  •  株式発行無効の訴え(会社法828条)の無効事由は、広く解すると手続きの安定性を著しく害するから、重大な手続上の違反があった場合をいうと解する。
  •  まず、本件では1株あたり10万円で発行されているところ、これが「特に有利な金額」(会社法197条3項)にあたり、株主総会の特別決議(会社法201条1項、309条2項5号)が必要となり、これが行われていないことが無効事由とならないか。
  • まず、本件発行の払込金額が「特に有利な金額」であるといえるかが問題となるところ、本件は公正価格が20万円であるところ、半額の10万円であり、資金調達の目的との関係でも著しく安い価格であるといえるから、「特に有利な金額」であるといえる。
  • もっとも、特に有利な金額での発行が、株主総会決議を欠く場合であっても、内部的意思決定手続を欠くにとどまるから、重大な手続上の瑕疵とは言えず、株式発行の無効事由とはならない。
  •  次に、本件発行について株主に対する通知及び公告を行わなかったことが、会社法201条3項に反し、本件発行の無効事由とならないか。
  • 同項の趣旨は、株主に株式発行差止め(会社法210条)の機会を与えることにあり、

重要な手続であるから、通知及び公告を欠いた場合、会社において差止事由のないことを立証しない限り株式発行の無効事由となると解する。

  • 本件においては、本件発行が「著しく不公正」(会社法210条2号)にあたるか、問題となるところ、会社の支配権維持のための新株発行は、それを正当化する特段の事情がない限り「著しく不公正」といえると解する。なぜなら、会社からの受任者である取締役が、会社の所有者たる株主の構成を操作できるとすることは、会社法の基本的な仕組みに反するからである。
  • 本件発行においては特段資金需要はないにもかかわらず行われたもので、支配権の維持を主要な目的として行われているといえる。また、乙社による甲社株式の取得が甲社にとって著しく不利益でこれを防止する必要があるなどの特段の事情もない以上、本件発行は「著しく不公正」であり、差止事由がある。
  • したがって、甲社において差止事由の不存在を立証することはできないから、通知および公告を欠いた本件発行には無効事由がある。
  •  よって、乙社の主張は妥当であり、本件発行は無効である。

(約4ページ)

評価:B

 

民訴法

第1 設問1

  •  Yの主張は、②訴訟の提起は①訴訟の既判力(民事訴訟法114条1項、以下単に「法」とする)に抵触するから認められない、というものであると考えられるところ、この主張は認められるか。
  •  まず、既判力とは、前訴判決が後訴に有する通用力をいい、前訴と後訴の訴訟物が同一である場合、先決関係にある場合、矛盾関係にある場合に後訴に及ぶ。

 本件では、前訴の訴訟物は甲土地所有権に基づく返還請求権としての建物収去土地明渡請求権であるところ、②訴訟の訴訟物もこれと同一であり、前訴の既判力が及ぶ結果、②訴訟は不適法として却下されるべきであるとも思える。

  •  もっとも、本件では①訴訟は控訴審において訴えの変更(法143条1項)がなされているところ、訴えの交換的変更は、新訴提起に旧訴の取り下げを組み合わせた複合行為であると解する。訴えの交換的変更は旧訴の係属を消滅させるものであるから相手方の同意を要する(法261条2項)と解すべきであるためである。

 本件でも、訴えの交換的変更が行われているところ、これは旧訴たる①訴訟の取り下げを含むから、①訴訟の係属は遡及的になかったものとみなされる(法262条1項)ため、そもそも甲土地所有権に基づく建物集居土地明渡請求権に関して既判力は生じない。

  •  よって、Yの主張は認められない。

第2 設問2

  •  Xが取るべき手続上の手段として、和解無効確認の訴えが考えられる。
  • まず、和解は確定判決と同様の効果を有する(法267条)ところ、和解を無効とすることで、和解の効力を消滅させることができるから、Xの権利実現には一定の効果がある。もっとも、和解を無効としても当初の訴訟が復活するわけではないから控訴審がそのまま続けば勝訴したと考えているXにとって適切な方法とは言えない。
  • よって和解無効確認の訴えを採ることは適切でない。
  •  次に、Xとしては期日指定の申立て(民事訴訟法93条)をすることが考えられる。
  • 上記の通り、Xにとっては控訴審を継続させることが望ましい。この点、期日指定の申立てによれば、和解により終了した前訴を復活させ、控訴審から継続して真理を行うことができるから、Xとしては継続した控訴審において勝訴することで権利を実現することができる。
  • よって、Xは期日指定の申立てをするべきである。

(2ページ)

評価:E

 

 

司法試験予備試験の結果報告と模試の成績

 お久しぶりです、へるしろです。12月21日、司法試験予備試験論文式の合格発表がありました。結果から言うと、合格していました。

 そこで、今回は論文模試の成績と本番成績の関連について情報が少なく苦労した私の経験に基づき私の模試の成績と、模試の成績と本番成績に関する考察を述べようと思います

 

論文模試の成績

 私が受験したのは伊藤塾で行われた論文模試で、会場受験を選択しました。今年の模試は受験者数584人で私の順位は170番代でちょうど上位3割の成績でした(個人の特定を防ぐため順位はぼかします)。基本的にどの科目も成績は安定していて、刑事実務と刑法だけ順位が半分を下回ると言う結果で、二桁順位など出来のいい答案も特段ありませんでした。

 

模試結果と本番成績の関係

 この結果を見て、単純に考えれば論文の本番では20%弱しか受からないのだから上位3割では合格できないだろう、と言うこともできるでしょう。しかし論文式の受験者は2500人以上であるのに対して模試の受験者はせいぜい600人と、この間には大きな差があります。辰巳の模試を受けている人は100名ちょっとだったのでこれを足してもなお大きく本番の受験者数とは離れています。

 そこで、模試を受ける人は本番の受験者のうち一部のみであるということが言えるわけですがこの一部の人たちは総じてレベルが高いと見て良いでしょう。模試を受けるのもタダではありませんから、記念受験のような人は模試にわざわざお金を払うとは思えません。一定程度合格可能性があると考える人のみが受験しているといえ、そのように考える人は少なくとも出題範囲について一通り勉強している人でしょう。つまり、論文模試の受験者はいわば精鋭揃いであることから模試で成績が振るわなくても本番で合格するチャンスは十分にあるということです。さらに、模試と本番での採点方法の違いから本番で点数が伸びるという人もいることでしょう。

 

終わりに

 ここまで、私の模試の成績と成績に関する考察を述べました。模試の成績についてまで言及している情報は少なかったので少しでもこの情報が皆様のお役に立てば幸いです。

 

 なお、論文式試験本番の再現答案は結局基本7科目分しか作れませんでしたので成績表を受け取り次第アップしたいと思います。一応、本番に忠実に脚色などなく書いたつもりです。また、受験時の雑感や主観的評価などは論文式受験直後の過去記事にありますのでぜひご参照ください

 

司法試験受験生は筋トレをしよう!

こんにちは、へるしろと申します。

 さて、今回は司法試験受験生こそ筋トレをすべきである、ということで司法試験の受験と筋トレのシナジーについて記事を書いていこうと思います。

 

まず、司法試験は体力勝負の側面があること

 司法試験・予備試験の受験において、もちろん第一に必要なのは学力、知識量でしょう。しかしそれに匹敵する程度に体力も重要なのではないでしょうか。直前期になれば一日10時間以上勉強するだけの体力を要します(本記事は専業受験生を念頭に置いています)し、予備試験の論文式試験では実務基礎3時間、民事系科目で3時間半ぶっ通しで試験が行われますのでそれに耐えうる体力が必要ということになります。勉強を続ける体力と筋トレで培われる体力にどの程度の連関があるかは不明ですが体力はあるに越したことはないでしょう。また、試験本番や模試においては基本的に長時間座りっぱなしでいることを強いられます。長時間の試験で腰が痛くなった、などの声をよく聞きますが日ごろの筋トレで腰が鍛えられていれば試験中の腰痛とは無縁です。

 また、司法試験は1日休みを挟んで5日間続きます。この長丁場に耐えうるだけの体力を持っていることは試験が進むにつれて自分を助けてくれるでしょう。

 

メンタルを保つのに有用であること

 司法試験受験生はプライベートを犠牲にしがちです。勉強に焦るために、友達や恋人と過ごす時間を削ってしまう人が多いのではないでしょうか。私の場合、予備試験の受験に力を入れだしてから当時付き合っていた彼女と会う時間をとれなくなり、お別れすることとなりました。

 別れてから痛感します、夜、彼女と手をつなぎながら家に向かう道中でしか得られない栄養というものがあったのだ、と。しかしながら、カップルがそのような甘い時間に身を投じている間に、ジムで人に見せられないような顔をしながらブルガリアンスクワットをすることでしか得ることのできない何かも、同様にあるでしょう。このように思うことで恋人との甘い時間を謳歌する他人に対するジェラシーをごまかし、メンタルを保つことができるのです。

 また、体を鍛えるということは単純に気持ちがいいです。勉強だけではなかなか味わうことのできない爽快感が得られます。そして、司法試験受験生であれば頭を鍛えていることと思いますが、それに加えて体も鍛えることで完全無欠の最強な人間に近づきつつある、と実感することができます。これは筋トレ、スポーツをしている受験生の特権ではないでしょうか。ただ、うぬぼれは厳禁です。

 

日常で不快な思いをすることが減る

 筋トレをしてデカくなれば舐められることがありません。誰もメイウェザーにケンカを売ろうとは思いません。巷で聞く「ぶつかりおじさん」のような存在にも出会うことなく、ふと不快な思いをさせられることが減るでしょう。これは、日常の勉強漬けの日々でストレスフルになりがちな司法試験受験生にとっては余計なストレスを加えられることが減るという点で有効でしょう。

 

 

 ぱっと思いつく範囲で書いてみました。ぜひ、お時間あれば筋トレをお試しください

 

へるしろの筋トレ近況

どうも、司法試験・予備試験受験生をしております、へるしろです

 

私は予備試験の論文式の受験が終わるまでの期間減量をしていて、終了後から増量を開始しました。今日で増量開始から約2か月が経過し、体重は10キロほど増加しました。これに伴いBIG3の重量を更新しましたので、記録を兼ねて報告します。

 

BP 増量前 100キロ

  増量後 112.5キロ

SQ 増量前 130キロ

  増量後 140キロ

DL 増量前 200キロ

  増量後 230キロ

 

相変わらずスクワットが弱いですね…

スクワットのやり方が悪いのか、すぐに腰が痛くなってしまうんですよね

つい最近150キロに挑戦してつぶれたのでまずはこれを成功させるところから始めます

司法試験予備試験論文式を受験して(民事系科目)

前回は、刑事系についての感想を投稿しました。そして前回記事の最後に、次回は実務基礎科目について記事を書く旨述べましたが、先に民事系の再現答案を作成したので、今回は民事系について述べようと思います。

 

民事系

 民法と民訴はなかなか難易度が高かったと思います。特に民訴は、出題意図にほとんど答えることができていないと思われ、Fが来そうな気がしています。商法は、特にひねりがあるとは感じませんでしたが、論じる分量が多かったと感じられました。設問1だけで2ページ半も使ってしまい、設問2でも論じるべきことは多いのに、非常に焦った記憶があります。

 

民法

 民法の設問1は、ネットを見てもかなり回答筋が割れていたと思います。私は、請負契約が「効力を生じ」た(民法632条)として契約自体は有効とした上で危険負担の問題として、250万円請求可能、ただし修復作業をしなくて良くなったことから利益を得たとして結局は40万円の範囲で認めました。

 原始的不能なども論じさせたいのか、と考えはしましたが、債務不履行として論じる道を思いつくことはできなかったので特にこの点については触れていません。

 設問2は、あまり見慣れない形式の出題で一瞬戸惑いましたが、契約時の説明の仕方で、即時取得となるか表見代理の問題となるかを適切に論じさせる問題であったのだと思います。

 (1)は、即時取得の条文の要件を検討した上で、占有改定では一般外観上従来の占有に変更を加えたとは言えないから即時取得することはできないと単純に結論づけました。ツイッターにはさらに題意を深読みして、(表見代理の場合にはDが乙を取得できることを前提として)事実関係に変更はないのに当事者の説明の仕方だけで結論が変わってしまうことに問題意識を持ち、即時取得可能な方向に修正するといった方もいらっしゃいましたが、現場では到底そこまで考えは及ばず、即時取得不可としました。

 (2)は表見代理の問題として、112条の文言を端的に検討しました。「過失」という規範的要件が出てくるのでここは事実を拾って評価しなければ、と思ってとりあえず事実を拾ってきた覚えがあります。

 設問1がどれだけ点数が入るかわかりませんが、AからCの間の評価が頂ければ、と考えていますが、どうでしょう。相場感がイマイチわからないのでなんとも言えません

 

商法

 設問1は株主総会の取消事由について問う問題でした。取消事由として私が考えついたのは、会社法305条の議案を招集通知に記載する請求権を無視したことと、乙社の従業員であるEの総会への参加を認めなかったことが会社法310条に違反する、という点です。

 305条の点については、甲社が公開会社すなわち取締役会設置会社であることに注意しつつ305条の要件を淡々と検討しました。310条については、代理人資格を株主に限定する甲社定款の有効性を検討→定款が有効でも乙社に定款の効力は及ばないと考えられないかという順で検討しました。書き方が悪かったのか、ここまでで2ページ半も使ってしまいました。なお、裁量棄却が認められないことはしっかり触れました。

 設問2は、新株発行の無効事由を問う問題でした。新株発行の無効事由が、差止仮処分を無視した発行、株主への通知、公告を欠いた場合に差止事由がないとは言えない場合に限られるという知識は最低限有していましたので、これを元に検討しました。

 本問では本件発行に関する瑕疵として、有利発行であるにもかかわらず特別決議がなされていないこと、株主への通知、公告を欠いていること、支配権維持を主要な目的とした発行で、「著しく不公正」な発行であること、というものが考えられました。

 しかし有利発行であることはそれだけでは新株発行の無効事由とはならないので、通知、公告を欠いたこととの関係で論じる必要があります。そして、通知公告を欠いている本件では差止事由が問題となりますが、支配権維持のための新株発行は原則として「著しく不公正」(会社法210条2号)であるのでこれを差止事由として論じることとしました。有利発行の点が法令違反(210条1号)の差止事由となる点については見落としてしまいました。

 商法は、大体書くべきことは書いた気がするので良い評価を期待したいですが、周りの出来も良さそうなことを考えると、そこまで期待はできないかもしれません。

 

民訴法

 これはやばいです、とにかくやばいです。先に労働法について全科目の中で一番出来が悪いと書きましたが、余裕で更新してきました。

 設問1は、訴えの交換的変更との関係で後訴の適法性について論じる問題でした。私はこれについて、訴えは却下を免れないとの問題文に引っ張られ、既判力によって後訴が不適法となる場面であると考えてしまい、構成がずれてしまったように感じます。訴えの変更が新訴提起と旧訴取り下げの複合的行為であるから、前訴の係属は遡及的になかったものとなるため、既判力に抵触しないとして、それで終わりにしてしまいました。本来ならば訴えの取り下げの後の同一の訴えの適法性の問題であったのにそれに気づくことはできませんでした。これはFを免れないでしょう

 設問2は、ほぼ手が回っていないところから出題されました。和解の錯誤や詐欺取消しの論点については知っていましたが、問題文に「手続上の手段」と書かれていたため、取消しは実体法上の手段だから、論じなくていいのかと早合点してしまいました。よく見たら詐欺取消しについて論じて欲しそうな問題文だったのでやらかしたと思います。

 手続き上の手段とかほぼ知らなかったので、短答対策の記憶を引っ張り出してきて期日指定の申立てについて、何が何だかわからないまま書かないよりかはましだと思って書きました。

 民訴はF確定とみていいと思います。問題の意図に応えられていませんし、何より分量も2ページちょうどしか書けていません

 

 とりあえず、今日までに基本7科目については再現答案の作成を完了したのですが、選択科目と実務基礎についてはもうエネルギーが残っていません。でも、LECの再現答案募集に応募してしまったので、なんとか数日中に終わらせたいと思います